■エッセイA

デザイン11人の先生の教えー4.何も知らなかった僕が「良いデザインとは何か」友人Nに教わった


------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 

 「良いザインって何ですか」学生時代肥〇先輩、友人の中〇君に教えられた

 「良いデザインって何ですか?」デザインを勉強しているとこのような素朴な疑問を持つものだ。或いは、聞かれたりするのだ。自分だったらどう説明できるか?なんてね。「良いデザイン」とは何だろうか?きみならどうこたえるか?僕が大学生2年生の頃、IDコースの先輩は「良いデザインは古くならないデザイン」だと言ってた。大学1~2年の頃はこの先輩の様に、はっきりと言える子はいなかった。事例として仰っていたのが、ミースファンデルローエの「バルセロナチェア」だ。理由はシンプルなデザインは古くならないということ。なるほど!!そうかと反芻したことを覚えている。ところが、そんな単純な事ではないことを当時の僕らは理解できなかった。当時、僕らは多くの若いデザイン学生の注目はカーデザインであった。言葉では上手く説明は出来なかったが、ポルシェはかっこいいと思っていた。それは日本の車と明らかに違う優雅で綺麗な形、質感、高級感のある作り、自分たちには描きようのない感覚的に美しいと思える曲面とプロポーションであったからだ。ところが、その時に実はポルシェは専門職としてのカーデザイナーはタッチしていないと聞き衝撃を受けた。それを教えてくれたのは後に日本のカロッツェリアを目指す大学のIDコースの仲間、冒頭の親友の中〇信〇君だ。実はエンジニアであるポルシェ博士が設計と同時にデザインを行っているのだと。後に、彼がル・ボランという雑誌で彼の設計した「アエローザ」というスポーツカーのインタビューで設計を理解しなければ本物のスポーツカーは出来ない。しかしながら、デザイナー出身であった彼が探求した結果その結論に到達し、デザインのために設計の勉強し車を開発したという秘話に感動した。ポルシェ博士とは入り口は違うが求めるところは同じだ。そこには無駄のない造形-足の速い肉食の動物の様に走ることに速く走るために進化した造形は、ミニマルという言葉以上の無駄のない自然界の造形だ。僕らが大学生の頃の1978年には、MAZDAサバンナRXがデビューした。今でも記憶に残るのは明快な造形で走り抜ける姿は後ろから見る形も美しく、曲面だけでなく工業製品的な秩序だった造形にポルシェとは異なる日本的なスポーツカーの美しさが認められた。 さらに、衝撃だったのはホンダのシビックのデザインだ。そして、ホンダCITYのデザイン!ホンダデザインから出る車、出る車、僕らの憧れとなった。 さて、それらは当時輝いていたが今見るとどうであろうか?やはり、昭和の時代を感じないだろうか。一方ポルシェは?それにしても、車ほど人間に近い機械はないのでは無いだろうか。その存在は人にとって親密で大切な存在だ。製品であって、製品ではない、生活や人生という時間を共有した存在はデザインを越えた存在である。そして、物言わぬ「製品デザイン」から作り手(デザイナーの巧みな造形感覚、こだわり)の「気持ち」が伝わってくるようなとき、私たちはときめく。良いデザインだから売れるとは限らない。

 先ほども述べたが、昨年10月ごろから数ヶ月で僕は3Dレンダリングをゼロから一気に上達させた。暇だったのでクラウド上のビジネスというものを試してみた。クラウドでプロダクトデザインの募集をしているのだ。プロや学生のサイドビジネスというもので、本業の合間にお小遣い稼ぎという位置づけらしいが、驚いた。多くが小物、雑貨でクライアントはネットショップで売る安物のデザインを募集するものだ。おどろいたことは、納期、値段、デザインの価値と位置づけ。納期は2週間ぐらい、値段はわれわれの通常の1/10以下。スケッチだけで決定するプロセス。これらは大半が求めるものはデザインではなくリ・デザインでもなくコスメティックだった。インダストリアルデザインではなかった。そもそも1週間2週間で正しいデザインが出来るわけがない。仕事が欲しくてこういうものにでも数十人の応募があるという事実。はっきりと感じた感想はデザインの搾取だという印象だった。それに気が付いたのは、クライアント自身がデザインを選べなくてアンケートでデザインを投票により決めているからだ。モノづくりではない。デザインの消費。消費のデザイン。これに手を貸してはダメだ。2Dレンダリングは形が読めないらしく3Dレンダリングで求められるので、お陰で1~2ヶ月ぐらいで10モデル未満の3Dレンダリングを描き凄く上達した。このような機会だったがなかなかチャレンジすることの無かった3Dレンダリングを練習し、マスター出来て良かったと思っている。ソフトは月額払いの可能なフュージョン360だ。さて、良いデザインの話に戻るが、インダストリアルデザインにとっての成功は、原形になれるかどうかです。原形以外は亜流となります。良いデザイン引力の法則があって、良いデザインに全体が引っ張られていくのです。それを原型といいます。そうしますと、現代の良いデザインはどのようなものでしょうか?明らかに日本を代表する良いプロダクトデザインは「無印良品」であり「MUJI」の世界観です。