■エッセイ

2.デザイナーを目指す君へー10.(インダストリアルデザイン松坂研究室ブログ2からコピー)工業デザインの常識を覆したアップルのトップダウン

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工業デザインの常識を覆したアップルのトップダウン


 アップル社は個人で使うという意味での本当のパーソナルコンピューターの原形といえる一体型を発表したのは1984年のマッキントッシュ128Kだ。スティーブジョブスから信頼されていたフロッグデザイン・ハルトムットエスリンガー氏の時代を経て、復帰したスティーブジョブスが信頼したジョナサンアイブは伸び伸びとした安っぽくないプラスティックの痛快なかたちのiMACでパーソナルコンピュータのデザインを開放した。その後、iMACからiCUBEなど次から次へと最高の樹脂の傑作なデザインを発表し、ISO14001が世の動きになると2000年以降の世界的なエコロジーの流れに則り、再生可能なアルミを主体としたデザインに切り替えた。それ以降は現在のアップルの他社を寄せ付けないミニマルで圧倒的に美しいプロダクトデザインを展開している。美しいプロダクトを実現するために無垢材からの削り出しという一品ものにだけ許される試作品の手法を量産させる魔法は、トップダウンの企業であったから実現した。ジョブスとジョブスの信頼を得ていたジョナサンアイブであったからこそ実現した奇跡であった。アップルは、デザイン優先の会社であった。バウハウスのインターナショナル様式ではない、全くデザイン優先のプロダクトづくりの企業、唯一無二のアップル様式といえよう。今、ジョナサンアイブの去った後、あっ!と言うようなデザインは出ていない。ジョナサンアイブを超えるデザイン、それは、アップルカーか。