■エッセイ

2.デザイナーを目指す君へ.(インダストリアルデザイン松坂研究室ブログ2からコピー)「インダストリアルデザインとは」

------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 

 「インダストリアルデザインとは」:今日では私たちの専門性を一般的に「プロダクトデザイン」と呼ぶことが多いのでは無いかと思います。また、「プロダクトデザイン」は「インダストリアルデザイン」を含むというように書かれている記事をネット上で目にします。説明上問題ありませんが、インダストリアルデザインとは工業デザインのことで、昔はプロダクトデザインはクラフトや家具を対象とするデザインを主に指していたように記憶しています。昭和世代のデザイナーである私は、初めて覚えた憧れのデザイン団体が「JIDA」や「GKデザイン」であり、東京の多くの美大の当該学科・コース名が「インダストリアルデザイン」であったり、「インダストリアルデザイン」を選択する学生はヴィジュアルコミュニケーションや住空間デザインに比べマイノリティーであったので、特別な誇りのようなものを感じていました。殆ど同じ意味ですが、プロダクトデザインは単品の「物」のデザインであり、人間の生活に近いものを対象とし、インダストリアルデザインは工業製品全般を対象にし、かつデザインの対象が拡大している分野であると理解しています。なぜなら、私の経験した1980年代の重電の分野でもインダストリアルデザイナーが世界でデザインしていましたし、例えばその仕事は、発電所や上下水道の制御室の人間工学的デザイン、エレベーターの内装、計測器、産業用モーター、原発の燃料交換機の操作卓、巨大なプラントの計器や流量計なども含み、それらをプロダクトデザインというには違和感がありました。記憶では、レイモンドローウィの著書「口紅から機関車まで」のなかで(あるいはティーグの「デザイン宣言」で)我々の仕事は多岐にわたるので「インダストリアルデザイン」と呼んでいたように思います。