■エッセイ

2.デザイナーを目指す君へー9.(インダストリアルデザイン松坂研究室ブログ2からコピー)機能のデザイン

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機能のデザイン                                          

 製品のかたちを決める要因が機能に根差している合理的なデザインは、今日でもプロダクトデザインの主流である。その製品の機能をより合理的な形にすることであり、機能以外の無駄を排したミニマルな造形である。そのようなデザインは、バウハウスの時代に研究されたデザインの役割だ。そのデザインを正しいインダストリアルデザインの方法として理解した日本の工業デザインは、商品設計の提示する制約の中で最大限に良いデザインを実現するためにデザイン提案を行ってきた結果、世界で評価された。しかし、日本の工業デザインはデザイン優先ではなく器用なインハウスデザイナーが多くの制約の中で最大限のデザインを実現してきた点にある。日本の強みは企業の中でエンジニアと密にモノづくりをし、設計とデザインが基本的にはリスペクトしながらバランスのよいコストパフォーマンスに優れた製品デザインにあり、基本的にはデザインの役割をよく理解しているプロジェクトリーダー(PL)は設計のリーダーである。日本の企業の例ではソニーのようなデザインは、他社が真似できないようなハイテク(高度な技術)をベースに、新しい技術をデザインの意味のテーマとして新しいデザイン言語づくりに賭けていた。求められたのは常に尖ったデザインだ。海外でのソニーの評価はそのような日本製の高品質を代表するデザインであった。トリニトロンテレビは液晶に置き換わる前の2000年代中頃まで世界シェアがナンバーワンであった。これが、昭和から平成にかけて日本の家電が強かった時代のデザインの役割だ。